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◆ ミネラルウォーターの謎 ◆
近年、水道水の味やニオイ、そして塩素化合物が気になる方が増えるにつれ、 ミネラルウォーター・名水の売上が上昇し続けております。 スーパーやコンビニではいくつもの種類のミネラルウォーターを見かけます。 国内産のものや海外から輸入されたもの。 一体、ミネラルウォーターにはそれぞれに違いがあるのでしょうか?
さまざまなミネラルウォーターについて見ていきましょう。
■ ミネラルウォーターの見分け方
平成2年に農林水産省が定めたガイドラインによるとミネラルウォーターは下の4種類に分類されます。
1.ナチュラルウォーター |
特定水源から採水した地下水。 沈殿・ろ過・加熱殺菌以外の処理をしていない水 |
2. ナチュラルミネラルウォーター |
ナチュラルウォーターのなかでも、ミネラル分が天然の状態で溶け込んでいる水(地下で滞留又は移動中に無機塩類が溶解したもの・鉱水鉱泉水など) |
3. ミネラルウォーター |
ナチュラルミネラルウォーターを原水に、ミネラルの調整を人為的に行った水(複数の原水の混合・ミネラル分の調整・ばっ気・オゾン殺菌・紫外線殺菌など) |
4. ボトルドウォーター |
上の3種類の水以外で、処理方法の限定がない飲用できる水 |
3.4は実は処理方法などが異なるので、厳密に言うと天然水とは言えません。 例えば、水道水をパックに詰めれば4のボトルドウォーターとなり「ミネラルウォーター」と呼んでも構わないのです。 ただ、市販されているもののほとんどは2のナチュラルミネラルウォーターです。
ナチュラルミネラルウォーターは「地中においてミネラル分が溶解した地下水。 ろ過・沈殿・加熱殺菌以外の処理をしていないもの」ですが、 厳密な成分の定義は特になく、特定の場所で汲み上げられた地下水なら、大抵あてはまります。
若干のミネラルしか含まない地下水であっても「ミネラルウォーター」と呼ぶ事ができるのです。
ミネラルォーターの名前からすると、さもミネラル分が豊富な水というイメージがわきがちですが 残念ながら、ミネラルウォーターのすべてが豊富なミネラルを含んだ天然水というわけではないのです。 国産品のほとんどが、ミネラル成分に限っては水道水と大差がありませんし、 中には水道水よりミネラル分(カルシウム・マグネシウム)の少ないという商品もあるのです。
■ 輸入されたミネラルウォーター
1. 輸入されたミネラルウォーターは硬水あるいは硬水にちかい水が多く、ミネラル分が多いのです。 (国産はミネラル分の少ない軟水で硬度は水道水とあまり変わりはない) 2. フランス産などは全く殺菌や除菌処理をしていません。そのかわり、水源の周囲を環境保護区
にして水質保全をしています。(採水地周囲数万ヘクタールに工場などの建設を認めないなど)
【ちょっと雑学 水の硬度】 水の話しをしていて、よく耳にするのが「硬度」。 硬度とはカルシウムとマグネシウムの合計量を数値化したものです。 この数値が高いものを硬水、低いものを軟水と呼びます。 理化学辞典では、硬度0から178未満を「軟水」。178以上357未満を「中間の水」。357以上を「硬水」と分類しています。しかし、これではわかりにくいので、近年では便宜的に、硬度が100未満のものを軟水、それ以上を硬水と呼ぶようになっています。また最近は輸入のミネラルウォーターが増え、さまざまな硬度の水が販売されるようになってきたので、同じ硬水でも硬度100〜300程度のものを中硬水と呼んで区別するようになりました。
硬度の低い水はくせがなく、高いと好き嫌いがでるようです。 カルシウムに比べマグネシウムの多い水は苦味を増します。
硬度はまた、そのミネラルウォーターの用途にも大きく影響します。
硬度100未満の軟水は、炊飯や和風だしをとるなど日本料理全般、そして緑茶をいれたりするのに適しています。 反対に硬水で炊飯をするとごはんがパサパサになったり、緑茶の味や香りが十分に引き出せなかったりします。
硬度100〜300の中硬水は、洋風だしをとったり、煮物や鍋物をするのに向いています。
そして硬度300以上の硬水は、スポーツ後のミネラル補給や妊産婦のカルシウム補給、
そして便秘解消やダイエットにも役立ちます
主な天然水の硬度 |
名称 |
産地 |
硬度 |
備考 |
アルカリイオン水きりしま |
鹿児島 |
116〜120.2 |
アルカリ温泉水 |
ヴィッテル |
フランス |
307.1 |
カルシウム含有量が高い硬水 |
エビアン |
フランス |
297.5 |
天然のミネラルが豊富な硬水 |
こんこん湧水 |
山梨 |
26.0 |
典型的な軟水 |
コントレックス |
フランス |
1551.0 |
- |
サンペレグリノ |
イタリア |
743.6 |
高ミネラルな発泡水 |
磁気ミネラル74成羽の水 |
岡山 |
130 |
カルシウムが豊富に含まれた硬水 |
スパ |
ベルギー |
14.0 |
浴泉として有名 |
ペリエ |
フランス |
381.9 |
天然発泡水 |
ボルヴィック |
フランス |
50.0 |
ヨーロッパでは珍しい軟水 |
ポンポンナチュラルウォーター |
大分 |
112 |
マグネシウム含有量が高い日本では珍しい硬水 |
南アルプスの天然水 |
山梨 |
30.0 |
- |
森の雫 |
北海道 |
- |
白樺から取水しろ過した、100%天然の樹液 |
龍泉洞の水 |
岩手 |
96.8 |
カルシウム含有量が352、地底湖から汲み上げた水 |
六甲のおいしい水 |
兵庫 |
84.0 |
六甲山系の地下水 |
参考資料「ミネラルウォーター・ガイドブック」新潮社 |
※日本で水道水に使われる河川の水の硬度は、全国平均で25程度です。
■ ミネラルウォーターは美味しい? 水が美味しく感じる要因として、決定的なのは温度です。(夏場は10℃以下、冬場は15℃以下) 水道水はカルキ臭が気になりますが、沸騰させて冷蔵庫で冷やすと多くの人は、 ミネラルウォーターとの区別がつかなくなるようです。 水道水をより美味しく飲むコツについてはコチラへ
■ ミネラルウォーターの水質基準 現在、日本にはミネラルォーターに関して水道水のような水質管理の義務がありません。 採水した後、殺菌、ボトリングするだけでミネラルォーターになってしまいます。 水源や採水日時、水質、品質管理の基準や規制がないためメーカーを信用するしかないのです。 ある研究グループの調査によれば調査した30銘柄のミネラルウォーターのうち、15銘柄から 少量のトリハロメタンが検出されたとの報告もございます。
今、ミネラルウォーターについてはきちんとした水質基準や管理義務などの法律がもとめられています。
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